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こころのメッセージ


やめられない状態から回復し、やめてラクになっているひとたちのこと

北九州マック 施設長 精神保健福祉士 亀田 順子

H26年8月掲載

はじめに

これはお酒、ギャンブル、薬、買い物、ゲーム、ネット、万引き、やめられない何かで困っている方やそのご家族へのメッセージです。

「やめられない」をやめていく選択肢

まずはお酒やギャンブル、薬など、何度もやめようとしているのにやめられない場合は、 自分の力だけではやめられない病気にかかっているかもしれません。早くなんとかしたい、と思っているなら、まずは現状を専門医療機関や相談機関(*)に相談してみることが近道です。自分の意志でやめられない、またはコントロールが効かないと感じているなら、まずはいずれかの相談機関に連絡を取ることをおすすめします。

1. お住まいの区の保健福祉課
2. 北九州市立精神保健福祉センター
3. 専門医療機関
4. 専門相談支援機関(北九州マックや北九州ダルク)

依存症を抱える人は、依存対象とうまく付き合っていくことができない、コントロールする力をもっていません。そのため、依存の対象を「少しやめる」、とか「ときどきやめる」のではなく、いっさいやめて、やめつづけるしか回復の方法はありません(摂食障害や買い物の場合は、そうはいかないのですが・・・)。まずは専門医に受診が必要です。受診すると医師から①入院治療または定期的に通院、②自助グループの活用、③依存症回復支援設利用を提案されるでしょう。

北九州市にはやめるための(回復の)行動を実践できる場として、3つの選択肢があります。

1. 依存症専門病院(入院治療プログラムとデイケア)または専門医のいるクリニック
2. 自助グループ(たとえば断酒会、アルコホーリクス・アノニマス、
  ギャンブラーズ・アノニマス、ナルコティクス・アノニマスなど)
3. 依存症回復支援施設(北九州マックや北九州ダルク)

依存症回復支援施設 北九州マックの取り組みについて

地域活動支援センター北九州マックは2012年6月1日に開設しました。全国マック協議会という依存症回復支援施設の16か所目の施設です。マックは36年前に東京に開設した日本で初めての依存症回復支援施設です。開設以来後数多くの依存症者がプログラムを修了し、社会に復帰しています。

北九州マックに通所している人たちは老若男女(平成26年度7月現在は20代から60代17名)のさまざまな依存を抱えている人たちです。施設では12ステッププログラムという依存症回復のためのプログラムを理解し、実践できるように日々グループミーティングを行い、生活リズムを整えるため毎日決まったスケジュールをこなしていきます。依存対象をやめて生きるための生活に必要なことは飲まない、打たない、使わないだけでなく、掃除、食事、睡眠、レクリエーションなど基本的なことです。通所者の依存の対象は様々です。お酒、ギャンブル、ゲーム、買い物、薬物、窃盗などです。依存症を抱える人の特徴として、否認(病気であることを認めたがらない)があるため、はじめはかなり抵抗あるようです。ただ、通ってくるうちにだんだんその気持ちは変わってくるようです。マックスタッフはそれまで孤独で苦しんでいた人たちが毎日通ってくる場所なので、安心していられる居場所となるようにこころがけています。

スタッフは、主に依存症の回復の経験をもつ当事者です。やめられない苦しさや、やめていく上での苦労や喜びなど回復していく中で自らが経験しています。依存症経験のない人にはなかなか理解できない初期段階の課題や苦しさ、その後につづく回復のステージ、どのようにやめていくかということを身をもって体験している仲間です。

やめている人たちってどんな人?

はじめは施設での回復プログラムを実践することに乗り気ではなかった人たちも、プログラムを継続しているうちに日々変化してきます。ホームレス状態でつながった人、病院や区役所から紹介されてきた人、家族から連れてこられた人、自らインターネットで探してきた人などが一緒に回復を目指しています。なかには夢や理想を持ってくる人もいます。その夢や理想を実現するには、まずは依存をやめていくためのプログラムを優先する必要があります。早く回復して社会復帰しなければ、と焦っている人がほとんどですが、依存症の治療と回復には時間が必要です。その事実をなかなか受け入れられない人もいますが、焦りは回復に効果はないようです。その点もプログラムをやっていくうちに理解できるようになります。

回復途上の具体的な変化

  • 身だしなみに気をつかうようになる
  • 時間や約束を守れるようになる
  • 人の話を聞くようになる(受け入れるかどうかは別として)
  • 笑顔がでてくる。笑う
  • うそをつかなくなる(やめるとうそをつかなくてもよくなるから)
  • でも、だって、などの否定や言い訳?が減ってくる

プログラムを続けている仲間たちの声

  • ラクになった、軽くなった
  • 相談できるようになった
  • 希望や目標がもてるようになった
  • 自分の欠点がわかるようになったなど

回復を継続している人たちには自助グループに定期的に参加し、12ステッププログラムを日ごろから実践しているという共通点があります。健康的に生活していくために、この2点はとても重要です。

おわりに

やめられない何かをかかえていることは本人にとっても家族にとっても苦しいことです。まずはやめられないのは依存症という病気であること、回復できることを知ってください。この文章だけでは伝わらないこともあります。依存症はひとりで、または家族だけで解決・回復できる問題ではないことを知ってください。もしひとりで何とかしよう、何とかしなければと思っているのであれば、まずは精神保健福祉センターやマックなどの相談機関に相談してみることをおすすめします。家族が解決しなければ、と日々苦しい思いをされている皆様、いい解決策はあります。すこしでも早くラクになるためには、行動してみてください。その先の回復や自立、夢をかなえるためには、回復の行動を実践していくこと、自助グループに継続的に参加すること、悩みを相談できる相手をみつけておくことがポイントです。

北九州マックでも電話や来所相談をお受けしています。依存症もほかの病気と同様、早期発見・早期治療が効果的だといわれています。今、苦しい思いをされている方々からのご連絡をお待ちしています。

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