メイン画像へジャンプ
ここから本文です

こころのメッセージ


コラム【臨床心理士会】自殺予防教育の取り組みについて

一般社団法人 福岡県臨床心理士会 副会長 シャルマ 直美

H29年8月掲載

北九州市では、精神保健福祉センターと教育委員会、スクールカウンセラー北九州市部会三者の連携・協働により、平成21年度に子ども向け自殺予防教育リーフレット「だれにでも、こころが苦しいときがあるから…」を作成し、下図のような自殺予防教育に取り組んできました。
また、これに加えて、友だちどうしで支え合う話の聴き方や、日常的なストレス対処法などを学習内容として、教職員とスクールカウンセラーとで協働授業をした学校もあります。

子ども向け自殺予防教育リーフレット
「だれにでも、こころが苦しいときがあるから…」

北九州市自殺予防教育パンフレット表紙

img0908_1

伝えたい3つのメッセージ

img0908_2

平成26年度からは、全ての市立学校において、スクールカウンセラーを活用した教職員研修が行われており、このことによって、自殺予防教育の考え方が学校文化を構成する一要素となりつつあると感じています。
しかし、実際には、学校現場で「自殺」に関連することを指導することによって児童生徒が却って心理的に不安定になってしまうのではないかという心配が、教職員の中にあります。毎日、児童生徒と向き合い、さまざまな場面で指導を繰り返している教職員にとって、このような心配は当然のことだと思います。
そこで、下記のような様々な指導上の工夫を積み重ねてきました。

  • 「自殺」や「死」という言葉を使わず「こころが苦しくなる」という表現を使ったり、「メンタルヘルス」の視点から大切な点を指導すること。
  • いつもと違う心配な様子の友人に声をかけて話を聴く練習をしたりすることも結果的には自殺予防教育になるという考え方から、そのような場面での声のかけ方、話の聴き方に焦点を絞った指導をすること。
  • こころが苦しくなる問題場面に対して、各自の解決方法を意見交換しながら「こころが苦しくなった時の対処法」や「こころの苦しさをどうしのぐか」「必要な支援を求めること」についても指導すること。

今後も、自殺予防教育の浸透に向けて、さらなる工夫を積み重ねて児童生徒に届けていきたいと思います。

「命は大切なものである」と十分に理解しながらも、自らその命を絶つことでしか、重く大きな苦しみから逃れることのできなかったたくさんの命。そして、その瞬間に絶たれることがなければ、その後も続くはずだったそれぞれの人生を思う時、

  • 苦しい気持ちはきっと変わる
  • それまで逃げたり隠れたり、助けを求めたりしながら、しのいでほしい
  • そして、いつかまたこころから笑える時を待っていてほしい

そんな思いを未来ある本市の子どもたちに届けたいと思います。 
だれにでも、こころが苦しい時があるから・・・。

  • 一覧へ戻る